監修:独立行政法人 国立病院機構 九州医療センター
名誉院長 柏木征三郎先生
インフルエンザが重症化すると、小児では「インフルエンザ脳症」、高齢者では「二次性細菌性肺炎」などの合併症を発症する可能性があるため、注意が必要です。
インフルエンザ脳症とは?
インフルエンザ脳症は、インフルエンザによる発熱中に意識障害やけいれん、嘔吐、頭痛、異常行動・言動などが現れ、最悪の場合は脳障害の進行や多臓器不全をもたらすこともある、命にかかわる重い病気です。
インフルエンザ脳症は主に小児に多くみられ、5歳以下、特に1~2歳に集中しており、1年間におよそ100~300人の小児が発症しています。
二次性細菌性肺炎とは?
生理機能の低下した高齢者がインフルエンザウイルスに感染すると、気道粘膜や全身の抵抗力がさらに低下するため、細菌に感染しやすくなり、その結果、細菌性の肺炎を発症しやすくなります。このように、インフルエンザウイルスに感染したのちに、抵抗力の低下などによって発症してしまった細菌性の肺炎を「二次性細菌性肺炎」といいます。
高齢者の死因の多くは肺炎ですので、細菌感染による「二次性細菌性肺炎」が心配される場合は、早めに抗菌薬(細菌を殺すお薬)による治療を開始することが重要です。